ねんりんピック愛媛大会に参加して  貝原俊明(藤沢)    2023.11.10

 この度は貴重な体験をさせていただきありがとうございました。これまで全国大会への出場経験がなかった私にとって、神奈川県代表という光栄に預かり飛び上がるほどの喜びでもありました。

 しかし、その重責を果たさなければならない、また先鋒ということからプレッシャーは大会が近づくにつれ高まっていきました。というのも強化練習試合が3回組まれましたが、その試合で良い成績が残せず、監督の岩尾先生からは「先鋒は勝たなければならない。最低でも引き分け。先鋒が負けたらチームの士気が下がるから、負けてはいけない。」とお話をいただいていたのです。

 それからというもの、打突した後の防御の姿勢を考えたり、動き回る戦法を考えたりと稽古で様々なことを試しました。さらに大会前の1か月は稽古量を増やし、実践を想定した地稽古をして準備しました。

 そして愛媛へ出発の日、気合だけは最高潮に達していました。ただ、愛媛の地は遠く、新横浜に昼前に集合したものの、ホテルに到着したのは午後7時。旅の疲れを道後温泉の湯が癒してくれました。

 翌日の総合開会式への出発も午前7時。目まぐるしいような予定が組まれていました。開会式は三笠宮彬子様もご出席され、大きな陸上競技場が各県の代表選手等1万7千人で埋め尽くされるという壮大なスケールに圧倒されました。午後には大会会場となる愛媛県武道館で練習。試合場4面と大きな観客席、さらに主道場と副道場が配備された立派な武道館でした。

 いよいよ大会当日、7時のバスで会場へ向かいました。全国から集まった67チームが4チームないし5チームの16ブロックに分かれて、各ブロックの1位のみが決勝トーナメント出場できます。それも各チームは他の4チームの内2チームとしか対戦しません。その2試合の結果の勝数、勝者数と取得本数によって1位が決まります。

 神奈川県は5チームのリーグ戦で、残り2チームと対戦しません。つまり2勝しても、対戦していない他の2チームが2勝した場合、1位になれないこともあり得ます。試合中は、同じグループの得本数を考えながらの試合運びとなりました。

 1試合目の愛知県戦は緊張しすぎて体が動きませんでしたが、先輩方のおかげでチームは2対1で勝利しました。2試合目の岩手県戦では、4勝するか3勝しなければならなくなりました。それは、対戦しない和歌山県の総勝者数が5勝だったからです。つまり、神奈川県が1位になるには4勝するか3勝して本数を上回らないと上がれません。

 岩尾総監督のためにも何としても勝利を得て、決勝トーナメントに上がることを目指しました。二本勝ちしようと打ちまくりましたが、一本しか取れず猛省です。しかし結果的にチームは3勝し、本数で二本上回り1位になることができました。1位になれたという結果を聞いた瞬間、涙が溢れてきたほどでした。

 二日目、トーナメント一回戦は鹿児島県戦。勝てると思った試合でしたが、審判の旗も重くチームは惜敗。一本取ることの難しさを痛感しました。優勝した愛媛県や準優勝の群馬県は県警の特連師範の先生が出ているそうで、大半のチームが交流試合とは名ばかりの勝つことへの執着の強さを感じた大会でした。

 参加にあたり、神奈川県剣道連盟の小林会長をはじめ事務局の皆様、また高齢剣の佐藤会長、ねんりんピックの団長・監督を務めてくださった岩尾先生には大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。